5年以上履き続けたスニーカーとの別れ、そして出会った本当の宝物


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今日も日本のどこかで解体が起こっているようですが、それは、建物だけでの話ではありません…

「今日の私の壊しました!」と題してエピソードを募集したところ、持ち物、人間関係、悪い癖など、たくさんの人が葛藤しながら何かを壊し、そして現状を変えようと努力していることが分かりました。

この解体エピソードをシェアすることは、きっと似たような悩みを持つ人の助けになります。
温かい話、ちょっと笑える話、元気が出る話、様々な皆さんの今日の壊したエピソードをご紹介していきます。

今日はSさんの、ずっと大切にしていたスニーカーにさよならすることで、もっと大切なものが自分の元にやってきた、というお話をご紹介したいと思います。

僕の宝物のスニーカーが壊れた

僕は現在大学生なのですが、つい先日長年大切にしていたスニーカーを壊してしまいました。
中学生のときに親が誕生日プレゼントでくれたそのスニーカーは、つい最近まで大切に履き続けていたのです。

僕はもともと物を大切にする質で物持ちもいいのですが、そのスニーカーは中でも特別な物で、一番愛着も持っていたものでした。
大学に進学するころにはすでにボロボロ、という状態でしたが、それでも僕のスニーカーに対する愛情は全く変わず、これからも大切に履き続けるつもりでいました。

ところがある日、足の裏に違和感を感じ、靴の裏を見てみると靴底の半分以上が完全に剥がれて無くなっていたのです。
とっさにどうにか補強しなければと思いましたが、靴の状態から見てどうやっても補強できるものではない程に、スニーカーは壊れていたのです。

それまで大切に大切に履いてきたスニーカーが完全に機能しなくなってしまったことに、僕は想像以上のショックを受けました。でももう5年以上も履き潰した靴だ。壊れるのも無理はない。ああ、とうとうこのスニーカーとのお別れが来たんだな、と静かな悲しみの中、これまでの僕のスニーカーに対する感謝のようなものを深く感じました。

 

宝物を失った後——本当の宝物に気づいた

僕がいつも履いていたスニーカーを履いていないので、大学の友達も「お前靴どうしたの」と聞いてきます。
僕は靴との別れを受け入れてはいましたが、どこか心にぽっかり穴が開いたような気持ちを引きずっていました。

靴を失ったショックもだいぶ薄まった一ヶ月後の僕の誕生日。友達が、プレゼントをくれたのです。包みを開けると、それはスニーカーでした。僕が履き潰したスニーカーの、最新モデル。

とても値段の張るモデルなので、友達みんながお金を出しあってくれたそうです。靴が壊れてしまった時は泣かなかったのに、この時ばかりは涙が溢れてきました。

長年大切にしてきた宝物との別れを受け入れた時に、ぼくは何倍もかけがえのないものを手に入れることができたのです。おまけに、かっこいいスニーカーまで。

大切にしているものを手放すことはいつも、とても寂しいし、辛いです。

なんだか知らないけどずっとずっと大切に握りしめていたものを手放すと、なんかの形で僕の想像をはるかに上回る、もっと心が満たされる出来事がやってくるのです。どんな形でやってくるのか、それはお楽しみです。

何かの終わり、「決着」は、新しいことの始まりでもあるんだな、と深く思いました。