神によって破壊された!伝説のバベルの塔は実在するって本当?


img_babel-extists01出典:http://nordenergi.org/

エルトン・ジョンが1975年に発表したアルバムの中の一曲に、「バベルの塔」という曲があります。曲の題名や絵の題材になるほど、キリスト教の国々では有名なバベルの塔は、旧約聖書に登場する伝説の塔です。神の怒りに触れて破壊されたバベルの塔ですが、ただの伝説や神話ではなく、実際に実在した建造物でした。

 

バベルの塔は誰が建てたのか?

旧約聖書によると、ノアの大洪水の後にノアの息子・ハムの孫であるニムロド(ニムロデ)が、人々を集めて天高くそびえ立つ塔を建設しようと計画します。

当時、古代バビロンで王という最高位の権力者の立場にいたニムロドは、自身の権力を誇示し、有名になるためにバベルの塔を建て始めました。

塔は途中まで建設されましたが、その様子を見た神は人間の傲慢さに怒り、言語を混乱させて塔の建設が続行できないようにします。

それまで同じ言語を話していた人々は、言語が乱されたために意志の疎通ができず、やがてバビロンの地から離れ去ってしまいました。

実際に神が塔そのものを破壊したわけではありませんが、塔を建てる計画を破壊したという点で、バベルの塔は神によって破壊された建物だと言えるでしょう。

 

バベルの塔はどこにあるの?

バベルの塔として知られている遺跡は、現在のイラクに存在します。古代バビロニア王国があったチグリス・ユーフラテス川流域付近には、たくさんの「ジッグラト」と呼ばれる塔がありました。

これらのどれかがバベルの塔であるとされていますが、もっとも有力なのが、「エ・テメン・アン・キ」の遺跡です。

建設中断になったバベルの塔は、アッシリアの王であったセナケリブによって破壊されましたが、後に新バビロニア王国のネブカドネザル2世によって再建されたとされています。

ネブカドネザル2世といえば、バビロン捕囚のほか、絢爛豪華なイシュタル門や世界の7不思議に数えられるバビロンの空中庭園を建造した王です。

マーティン・シェーン氏のコレクションの中には、バベルの塔に関する紀元前604年に書かれたと思われる碑文があり、かつてバベルの塔が実在したことを裏打ちしています。

しかしながら、再建されたものの、現在ではほとんどその形状を残しておらず、ただ建物の土台が残っているだけという有り様です。

 

どうして神はバベルの塔の建設に憤ったのか

ただ「有名になりたいから」という理由だけで塔を建設していたなら、もしかすると、神も言語を混乱させることなく、ニムロドの時代にバベルの塔は完成していたかもしれません。

有名になりたいと願う背景には、人間の傲慢さが隠されていました。大洪水を生き残ったノアのひ孫にあたるニムロドは、恐らくなぜ大洪水が起こったのか、その理由について知っていたに違いありません。

しかしながら、バベルの塔を建設することで、ニムロドは神の主権に挑戦しました。ニムロドは狩人としても名高く、自分の権力や影響力を誇らしく思っていました。そもそも、ニムロドという名は、ヘブライ語で「反逆する」という語に由来します。

それに加えて、当時の人々は「地に満ちよ」という神からの命令に背き、塔を建設することによってバビロンから散らされることのないようにしようとしました。

大洪水での教訓を得ずに、愚かな行為で神の命令に背いた故に、神はバベルの塔の建設を中断させたのでしょう。

生意気な人間たちを懲らしめるだけであれば、塔を破壊するだけで良かったはずです。しかし、神は直接バベルの塔を破壊することはしませんでした。

神が言語を混乱させて、結果的に人々をバビロンの土地から離れさせたのは、やはり人類が地球の至るところに住むようにする、という目的のためだったのかもしれませんね。