終焉の兆し!?Appleに何が起こっているのか?既存市場の解体はまだ起こるのか


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Apple。

今更説明するまでもないでしょう。ソニーのウォークマン一強状態だったポータブルオーディオに『ipod』という風穴を開けたことに始まり、何と言ってもスマートフォンという新たな価値を創造した『iphone』を世に出したメーカーです。
『イノベーション』という言葉はこの会社のためにあるような言葉だとも言われていましたね。

そんなAppleですが、2011年にカリスマ、スティーブ・ジョブズを亡くした後、企業としては成長軌道を描き続けているものの、一時の勢いがなくなり、”普通の会社”になった、と言われるケースをよく耳にします。
ここではそんなAppleになにが起こっているのかをまとめてみようと思います。

 

Appleの業績について

まず、数字の上でAppleは凋落を迎えているのでしょうか?以下のグラフを見てみましょう。

参考:http://gigazine.net/news/20160127-apple-revenue-2016q1/

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これはAppleの13年からの四半期決算をまとめたものです。
ジョブズが亡くなって2年が経っていますが、新機種を毎年リリースし、確実に右肩上がりの業績を上げているのがわかります。

しかも売り上げは四半期で760億$(=8兆円)と莫大なものです。
そして以下がデバイス別の販売台数です。

 

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ご覧の通り、iphoneの販売台数が圧倒的です。単価が異なるので売り上げベースでは若干の違いはありますが、強引にいってしまえば、今のAppleは『iphoneを売って儲けている会社』というのは間違いない事実と言えるでしょう。

一方、アップルが開拓したスマートフォンですが、2015年の世界の合計出荷台数は12億9270万台で、2014年の11億7230万台から10%ほどの伸びを見せています。

しかし、2014年以前は毎年25%ずつの上昇を見せていましたので、スマートフォンの市場全体の伸びが頭打ちになってきているのは間違いないようです。
市場が成熟すると、新規獲得ではなく、一定のパイの争奪戦になります。アップルはこれまでそのブランド力を武器に他社に比べて高額でも買わせてしまうだけの力を持っていました。

しかし、成熟し、性能がこなれてきた製品の市場においてはブランド力よりも価格が重要な要因になります。実際近年ファーウェイやシャオミーといった安価を売りにした中国スマホメーカーが台頭し始めている状況です。

 

Appleは何をしているのか

もともとAppleはiphoneに限らずiPodもMacもiPadも、プレーヤーが多くない、もしくは市場が出来上がっていない分野に対してそれまでの価値観を全て覆すような新製品を投入し、市場を席巻してきた企業です。すでに成熟しきった市場に打って出ることはあまりありません。

要するにAppleは既存市場を”解体”し新たな市場を”創造”することを信条とする企業ということです。

今のスマートフォン市場は、もしジョブズが生きていたら、製品を打って出るような市場ではないと判断しているかもしれません。
そうはいっても現状、スマートフォン市場はAppleが作り上げたと言っても良いものであり、先駆者利益を享受できる立場にあります。

しかし、そうしたことを続けることで、何が起こるかというと、ジョブズが憧れていたと言われるソニーを例に考えれば分かるかと思います。
ウォークマンやAIBOという画期的な製品を生み出し続けたソニーは、その図体の大きさが仇となり、意思決定が遅く、また多くの思惑が交錯する中で保守的思考に支配され、イノベーションが起こせなくなっています。ここ数年ソニーが生み出しているのは既存製品のスペックアップを追い求めたものばかり。

もちろんスペックアップは悪い事ではありませんが、イノベーションとは程遠いものです。

そしてそれは今まさにAppleがiphoneの新モデルでやっていることとも言えます。
私はAppleがソニーのようになりかけているような気がしてなりません。

 

まとめ

Appleで起こっていることは何も異常事態というわけではなく、極めて普通の事です。誰でも、成功したらそれを維持したいと思いますし、既存市場をブレイクスルーできるキラーアイテムがそうそう簡単に出てくる筈もありません。

ですがスティーブ・ジョブズ。彼は存命中何度も批判を押し退けてイノベーションを起こし続けてきました。
彼がいればAppleはまだまだ革新企業であり続けられるのではないか?
私は一人のAppleファンとして、次の新たな市場の創造を期待をせずにはいられません。