店舗を解体する時の注意点


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店舗を閉店・店じまいすることになった、店舗を引っ越すことになった、業種変更で店舗を作りかえることになった…などなど、理由は様々ですが、店舗の内装をすべて解体し、何もない状態にすることを店舗解体と言います。何もないスケルトン状態ということで「スケルトン解体」とも言います。

テナントとして入っている場合などは退去時にスケルトン渡しが義務付けられていることがほとんどです。
今回は、そんな店舗解体について、見積もりのポイントや実際の解体時の注意点などをご紹介します。

 

店舗解体の注意点とは

解体を行う店舗の種類としては、テナントビルに入居している「テナント店舗の解体」、一つの建物が店舗となっている「独立店舗の解体」、大型施設内の一部分(または全体)の解体などがあります。
いずれにしても店舗の場合は造作物や壁類が非常に多く、解体時に元々あった配管や配線まで傷付けてしまうと、復旧のために余計な費用や時間がかかるばかりか、最悪の場合は損害賠償などのトラブルへと発展してしまうこともあります。

ですから店舗解体は業者選びから慎重に行った方がいいと言えます。
では、どんなことに注意をしたらいいのでしょうか?

 

業者選び~見積もり時の注意点

店舗の解体工事では多かれ少なかれトラブルが起こる可能性はあります。不要なトラブルを避けるためにも、業者選びの際には、実際の工事で起こりうる解体トラブルを知っておくということも必要です。

問い合わせの際に口頭のやり取りで概算見積もりを伝える業者は多くありますが、概算の見積もりのみで正式な見積書もなく工事を始めてしまうと、請求時にびっくりするような高額な金額になっていたというトラブルもあります。契約の際には見積書の提出はもちろんのこと、作業内容やそれぞれの金額がきちんと明記されていることが必要です

また、店舗のスケルトン解体を行う際、注意しなければいけないことは建物の構造や配管の位置、電気の配線位置まで正確に把握した上で、見積りをとるということです。
解体の見積もりを依頼する際には業者に現地を見てもらうことは必須ですが、見ただけでは確認できないことも多々あり、「解体を始めてみたところコンクリートの厚みが予想よりもかなりぶ厚かった」「配管はないと聞いていたのに実際に工事を始めてみたら配管だらけだった」「壁の中には何もないと聞いていたのに、解体してみたら中には配管が通っていた」などが工事の途中で判明することもあります。

このような場合、どうしても追加工事が必要となり費用も跳ね上がってしまいトラブルの元にもなりまねません。また配管があるのを知らずに解体をして傷つけてしまった場合などはその復旧も必要となり余計な費用もかさんでしまいます。
見積もりを依頼する段階で、建物の図面や新装工事の際の写真などを元にしっかりと確認を行った上で見積もりを取ることが重要です

 

店舗解体工事中の注意点

解体工事中には騒音や振動、ほこりなどが発生します。工事を行う前には、テナントのオーナーや不動産会社などと打ち合わせを行い、隣接する店舗や近隣への挨拶も欠かせません。テナント店舗の解体の場合、エレベーターの使用可能な時間や、工事をしてもよい時間帯は何時から何時などの制限のある場合もあります。

テナント管理事務所へ毎回作業届を提出しなければならない場合などもありますので、依頼した解体業者が、解体作業の内容だけではなくこういった気配りのできる会社かどうか、また作業員が隣接店舗やビルへの入居者などへのきちんとした対応やマナー、気配りができるかなども大切なポイントとなります。

 

店舗返却の期日について

店舗を返却する際には契約上の明け渡し期日が設定されています。経営上、なるべくぎりぎりまで営業をしたいという方もいらっしゃいますが、あまりギリギリになってしまうと突貫工事になってしまいトラブルの原因ともなりかねません。また、短期間での解体工事となると、工事にかかる作業員の員数も増えて費用が高くなってしまいます

さらに工事中に予期せぬ事態が起こった場合、返却期限を過ぎてしまい延滞料を取られてしまうなどということにもなりかねません。返却期日、納期にはなるべく余裕をもって工事を行うようにしましょう。

 

什器や厨房設備などについて

店舗では様々な什器が使用されています。また飲食店の場合は厨房器具や厨房設備が使用されています。これらの什器や厨房設備については、「リースの場合」「買い上げの場合」が考えられます。

リース品の場合は、解体工事が始まる前にリース会社へ返却をする必要があります。買い上げの設備の場合には、他店で使用する、買取に出す、廃棄処分する、などが考えられますが、解体時に店舗内に置いたままの場合には作業員が廃棄物だと認識し、そのまま廃棄処分ということになります。その場合、別途処分料などを取られる場合もあります。

また、店舗什器や厨房設備などは、高額なものも多く、専門の買取業者やリサイクルショップへ持ち込むと買い取ってもらえる場合もあります。買取や他への移動をお考えで、工事前日までに搬出が難しい場合には、誤って廃棄処分ということがないように事前にその旨を解体業者に伝えておいた方がいいでしょう。

 

まとめ

今回は閉店や移転に伴って店舗を解体するときの注意事項についてご紹介しました。ほとんどの店舗や事務所などでは、退去時に「スケルトン解体」または「原状回復」が義務付けられています。

新しく店舗を作る場合には少々費用が掛かってもより豪華により見栄え良くしたいと思うものですが、逆に店舗の解体にはできることならお金はかけたくないというのが本音です。

余分な出費を出さないためにも、見積もりの際には配管や配線などの既存の設備についてもしっかりと把握したうえで工事に進めるよう、事前に図面や配線図などの資料を集めておくことも必要です。