長屋の解体工事ってどうすればいいの?押さえておきたい注意点


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大阪や京都など古い町並みが残っている風情ある都市には、多くの長屋があります。

この長屋は2戸以上の住宅が連続してつながっている建築物で、壁や柱などを共有しており、解体する時は1戸建てとはまた違う配慮が必要です。
では、実際に解体するときにはどのような点に注意すべきでしょうか?
長屋の解体についてまとめてみました。

 

長屋とはなんなのか

長屋とは「玄関や階段、廊下を共用していない2戸以上の住宅が連続している建物」のことをいいます。
壁や柱など家屋の一部を共有していますから、解体するときには当然隣接している住宅に大きな影響があります。

そのため、解体するときの基本的な注意点は「各所有者や隣人の許可を得ること」と「共有部分の補修保全工事が必要」ということです。具体的には以下の点をクリアすることが挙げられます。

 

長屋の解体で注意しなくてはならないポイント

共有部分が多い長屋の解体は、隣人や各所有者の今後の生活に影響を残さないように配慮しなくてはなりません。そのためにも、綿密な事前準備が必要になってきます。

解体できるかどうか、建築士に診断してもらう

まず解体工事が可能かどうかを確認しなくてはなりません。
長屋は古いものが多く、また構造上隣接した家屋によってお互いを支え合っています。極端な例を挙げると、3戸並んでいる古い長屋で真ん中の家屋を解体した場合、左右の家屋が支えを失い倒壊する可能性もあるのです。
そのため、まず建築士に現状を診断してもらい「そもそも解体できるのか」「解体できるならどのような方法があるのか」を確認しておくことが必要です。

各所有者と隣人に許可を取る

長屋の場合「区分所有法」という法律によって、それぞれの所有者の権利と義務が定められています。
区分所有法は正式な法律名を「建物の区分所有等に関する法律」といい、第十七条に「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。

前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」としています。
つまり、共有部分に影響を及ぼす解体工事では、棟を同じくする各所有者の四分の三(規約で決めている場合は過半数)に許可をもらい、なおかつ「共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼす」隣人に対しては必ず個別に許可を得なくてはならないのです。
この点は各所有者の今後の生活に関わりますから、工事中・工事後の影響も含めて誠実に説明し、交渉を重ねるしかありません。解体工事の詳細なども業者とともに詳細に説明しましょう。

また、注意すべきは、許可を得たときに「必ず文書を作成し残しておく」こと。そして工事前の現状を確認できるように「家屋調査をしておく」ことの2点です。

長屋の解体でもっとも多いのは隣人とのトラブルです。
例えば、

  • 許可を得たにもかかわらず、隣人の家族内で合意がなかったため、総意ではないといわれる。
  • 解体工事中もしくは工事後に「こんなはずではなかった」「家が傾いた」と影響についてクレームがでる。

など、真摯に説明し許可を取ったあとでもトラブルが生じる可能性はあります。下手をすれば裁判にすら発展する場合だってあるのです。

ですので、許可の内容をきちんと文書にしてお互いに確認し、家屋調査することで工事前の状態を証明できる書類を作成しておきましょう。
そうすれば、後にトラブルが生じたときに、客観的な事実に基づいた説明と交渉ができます。

予算と行程は余裕を持って用意する
前述してきた通り、長屋の解体は撤去するだけでなく、隣人の生活に影響が出ないよう配慮しなくてはなりません。
工事前の許可はもちろん、工事中もなるべく騒音や振動、粉塵を排除しなくてはならないので、建物の構造や使われている素材によって、最適の解体方法を選択する必要があります。
ですから解体工事を依頼するときは、必ず長屋解体の実績が豊かで信頼できる業者を選びましょう。
技術不足で工事中に必要以上の影響がでてしまうと、余計な隣人トラブルのもとになります。
また、当然共有部分である壁や柱、梁に解体の影響が残らないように補修・補強工事も必要です。補修・補強工事は基本的に解体工事をする側が負担するのが前提ですから、その分費用がかかります。

このように、一戸建ての家屋を解体するよりも費用や行程がかかることを念頭に置いておきましょう。
専門の解体業者なら、その点もすべて含めた上で見積を出してくれるはずです。

 

長屋の解体は専門の解体業者に依頼しよう

長屋の解体工事は、各所有者との共有部分が多いことから、一戸建ての家屋を解体するよりも繊細な配慮と準備、そして費用が必要です。
だからこそ、信じられないくらい費用が安いとか、作業が異常に早い見積などはありえません。
そんな工事では無用な隣人とのトラブルを招く羽目になります。親しいお付き合いのあった方々とのトラブルは、その後にも大きく響きますよね。

解体工事を気持ちよく終わらせるためにも、専門の技術と経験が必須です。

株式会社リバイブでは、長屋の解体工事における事前準備と補修・補強工事も含めて確実に行うことができます。

 

参考サイト

・「建物の区分所有等に関する法律」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37HO069.html