現代に形づくられた新しいオーケストラ


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オーケストラの発足と変化

オーケストラ。ギリシャ語でオルケーストラ(ορχηστρα)に由来するこの言葉は本来、舞台と観客席の間の半円形スペースのことを指しますが、時がたつにつれてその場所に配置される音楽集団のことを指すようになりました。

日本語では管弦楽団とも呼ばれ、その言葉通り複数の弦楽器や管楽器、打楽器の演奏者によって構成されています。バロック時代にオペラの伴奏として結成されたのが始まりで、その次の古典派時代ではハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンにシューベルト等の音楽家たちの活躍によって全盛期を迎えました。

特に西洋クラシックではベートーヴェンとバッハの存在が大きく、バッハの死んだ1750年からベートーヴェンの死んだ1872年の間が古典派音楽時代と呼ばれているほどです。この時代はローマ帝国の都ウィーンが最も栄えていて、多くの音楽家たちがそこで活躍しました。

そんなオーケストラコンサートですが、、縮小傾向にあることをご存じでしょうか。米国内のクラシックコンサートチケットの売り上げは、1991年から2011年までに29%も落ちていたと全米オーケストラコンサート(the league of American orchestras)によって報じられていたほどです。

その結果、2010年には米国の複数都市で多くのオーケストラが規模縮小に追いやられてしまいましたが、一つの転機が訪れました。ペンシルバニア州フィラデルフィアにある芸術施設マン・センターのCEOキャサリンカーヒル氏がゲーム「ゼルダの伝説」や「ポケモン」のコンサートが多くの集客と収益を生んでいることを発見したのです。これによって、世間の需要はクラシック音楽ではなく、ビデオゲームにあるという考えに至りました。

 

文化の発展という観点から見たオーケストラの考察

今回注目していただきたいのは、オーケストラが壁にぶつかり、決断を迫られたという点です。何事もそうですが、世の中は需要と供給で成り立っています。

そもそもオーケストラは、バロック時代に楽器の性能が向上したことによって誕生しました。そしてこの時代の音楽はスポンサーが王侯貴族や教会だったので、その需要に供給するという形でクラシック音楽の基礎は築かれました。だから、この時代は需要という波に押される形でオーケストラは進化していったのです。つまり、まとめると当時最先端の技術で誕生した物を当時上流階級に君臨していた存在がサポートしていたから、事は順調に進んでいったのです。

しかし、勢いに乗ったオーケストラは次第に需要の手を離れて行き、ロマン派時代では独立して自由で制約のない音楽を求め始めました。オーケストラに限らず全ての文化に置いて、深みに到達すればするほど世間は理解できなくなるというジレンマが存在します。需要によって持ち上げられて供給が発展していくにつれて、需要がついてこれなくなってしまうのです。

特に野球やサッカーのように明確な勝敗が定まっていない文化はこの傾向が強いと言えるでしょう。その価値はあくまで需要である世間によって決まるのに、需要が供給に合わせてくれるために世間が見えなくなってしまうのです。

そして需要もまた、時代の波と共に変化していきます。今回のオーケストラの縮小は、そういった両者のすれ違いによって発生してしまったのです。だから、今回の決断は一つの大きなターニングポイントであったと同時に、オーケストラが次のステップへと進むための原点回帰をするきっかけであったと言えるでしょう。

メインストリームであるクラシック音楽とは別に、世間の需要に合わせたゲーム音楽を一種のスリップストリーム的に採用することで、文化としての機能性を向上させることができたのです。これは他の文化だと、ファッションなら商品のターゲットを分けるために用いられる同メーカー内でのレーベル分け、音楽ならタイアップに採用されることが多いキャッチーなシングル曲とアーティストの世界観が反映されやすいアルバム曲の住み分け等が当てはまります。つまり、ビジネスとして文化を進めるためにはこれまでの常識を解体し、世間の需要とこれまでの常識を混合させる必要があったのです。

 

終りに

今回、近年のオーケストラコンサートの変容について考察していきましたが、いかがでしたか。社会で生きる上で、他人との関わりは欠かすことができません。自分のこだわりや伝統も大切ですが、そこに折り合いをつけることによって更なる高みへと登っていくことができるのではないでしょうか。

そのためには、一度固定された考えを解体する必要があります。新たな環境や時代に対応していこうとお考えなら、是非ともまごころ解体をお頼りください。皆さんの気持ちを大切にし、近隣の方への配慮も忘れず、まごころ込めてあなたの可能性を創りだします。