ボリビアの民承説話が物語る国情勢?楽曲「lalala」から見える現状


世の中には情報が溢れかえっています。様々な価値観や、先入観、偏見が渦巻いており、それらを左右しているのはあらゆる種類の「メディア」と呼ばれるものです。

特に現代日本においてはテレビやラジオはもとより、スマートフォンの普及により情報の循環は恐ろしいほど速いものとなりました。

例えば、発展途上国に対する情報はどうでしょうか?新聞やテレビかられることのできる情報のみで判断をしていては、あまりにも狭い範囲での理解しか得ることはできません。情報の範囲を目で見るモノだけでなく耳で聞けるモノにも広げてみることで、自分の知りたいことに対する物事へのアプローチの幅が広くなります。

今回は、ある有名アーティストが歌った楽曲に基づいた発展途上国の国内情勢を楽曲を通して解体し考察していきましょう。

政治体制の解体の必要性が垣間見えてきます…。

 

伝説を歌ったミステリアスな楽曲「La la la」

紹介する楽曲は2013年に大物アーティストSam smithとコラボをしたイギリス出身のアーティストNaughty boyがおくる「La la la」という曲です。

普通に聞いただけでは、Sam smith独特のハイトーンボイスが緩やかに奏でるメロディと繰り返されるラララという歌詞が心地良い楽曲です。

しかし、この曲の歌詞に注目してみると中南米にあるボリビアに伝わる伝説をもとに作られている、という事実があります。
その伝説の概要はこうです。

「ボリビアにあるポトシ鉱山に住むという悪魔エル・ティオを鎮めるために、la la laという声で人々を癒す能力をもつ耳が聞こえない少年が老人とライ病患者と鉱山まで旅をし、少年は悪魔が悪さをしないようにすることのできる唯一の存在となった」(要約)

実際に楽曲のサビの歌詞に注目すると

I’m covering my ears like a kid,when your words mean nothing, I go la la la.
あなたが意味のないことを言ったとき、私は子供のように耳を塞いで「la la la」と言うよ

※引用元 http://aicita.blogspot.jp/2013/10/naughty-boy-la-la-la-ft-sam-smith.html

後述しますが、この耳の聞こえない少年は旅を出る前に虐待を受けており、その状況を表した歌詞だと言われています。
「罵詈雑言を浴びせられてもどうせ私には聞こえない、ただla la laというだけさ」という子供ながらにして悟ったようなニュアンスが込められていることが分かることでしょう。

 

PVから見れるボリビアの情勢

不思議な歌詞をもつこの楽曲のPVは、お世辞にも「豪華」とは言い難い作りとなっています。
PVの初めは子供が赤い服をきた年配の男性から叱られて、挙句の果てに卵を投げつけられるシーンから始まります。
その後、発展途上国ならではの情景がそこには広がり、曲の後半になると荒野を歩いているシーンばかりになってしまいます。

このPVと前述した歌詞を組み合わせると、伝説とは別の政治的な意味も込められていることに気づくのではないでしょうか?
農民が多いボリビアの民衆は、過去に大きなデフレーションを経験し貧しい生活を強いられた時代を経験しています。
そのため、自殺者も多くでたにも関わらず政治的な解決策は一切講じられずに上層階級の人々のみが潤っていたのです。
先ほど明記した歌詞をもう一度見返してみてください。

I’m covering my ears like a kid,when your words mean nothing, I go la la la.
あなたが意味のない言葉を言ったとき、私は子供のように耳を塞いで「la la la」と言うよ

「あなた」の部分が政治家や国家を指していると考えてみましょう。
そして「意味のない言葉」という部分をいわゆる「マニフェスト」と置き換えてみるとどうでしょうか。

子供は耳が聞こえないにも関わらず、lalalaという声で人々を癒す能力を持っている、という伝説に基づいていますよね?

そう考えてみると、子供が癒しているのは貧困に苦しんでいる「人々」という結論に至ります。
この楽曲は伝説に基づいて作られ、そしてPV上の年代におけるボリビアの国内情勢を哀れみ、不安定な政治状況を皮肉っているのです。

 

ひとつの楽曲から感動と知識と歴史を知る

2013年に出されたこの楽曲は多くの音楽番組で取り上げられ、大ヒットしました。しかし、歌詞の意味まで深く読み込んで聞いているリスナーは多くはないでしょう。

全ての楽曲、とは言いませんが多くの楽曲は様々な国や、政治や、歴史などを言及しています。一つの楽曲を解体してみると、アーティスト情報だけでなく思わぬ知識を得ることができるのです。

実際、ボリビアの政治状況はかなり深刻であり、貧困層の人たちは過酷な生活を強いられています。
不安定な政治状況がいつまで続くのかは検討もつきませんが、もし今後先進国と肩を並べるようになるためには一時的な政治体制の解体が必須です。新しい国を創造していくような意気込みが必要となってくるでしょう。