社会問題!空き家増加の現状とその理由


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近年、全国的に空き家が増加しているのをご存知でしょうか。

総務省の統計によると、平成25年の空き家数は820万戸で、5年前に比べて63万戸(8.3%)増加しています。また、総住宅数に占める空き家の割合である空き家率は、平成10年に初めて一割を超えて11.5%となり、平成25年には13.5%と上昇し、空き家、空き家率共に過去最高となっています。

これは、住宅7~8軒のうち1軒は空き家という割合となっています。なぜこんなにも空き家が増えてしまっているのでしょうか?

 

なぜ空き家になってしまうのか

住むために作られた住宅が、一体なぜ、誰も住まない空き家になってしまうのでしょうか?

空き家になってしまう理由は様々ですが、住人が亡くなってしまい、後を継ぐ人がいない、ということが上げられます。

近年、核家族化が進み、昔のように三世代同居で大家族といった家庭が減り、夫婦と子供だけの世帯が増えています。それによって、子供家族と同居していない、高齢者だけの一人暮らしの世帯が増えています。

この一人暮らしの住人が亡くなってしまった場合、子供や親族は、すでに自分の持ち家を持っていたり、仕事の都合などで、その地域には住めないといった事情などから、住人が亡くなった家を引き継ぐことはありません。これによって、住む人のいなくなった家の多くが空き家になってしまうのです。特に過疎地などで多くなっています。

 

空き家になったなら、売ればいい?

例えば、自分の親が亡くなって、一人暮らしをしていた家をどうするか?といった問題になった場合、一番理想的なのは、自分たち家族が、その家を相続し、そこに住むことでしょう。

しかし、現実問題では、そう簡単にはいきません。勤務先が離れていて、通勤に支障をきたす場合や、配偶者や子供たちの同意が得られなかったり、また、すでに自分の持ち家を持っていたりといった様々な事情から、相続できないことが多いのです。

 

では、その家を売却すればいいのでは?と誰しもが考えるでしょう。売却して、家としてではなく、多少買い叩かれたとしても、お金として相続できるのであれば、大きなメリットとなります。

しかし、中古住宅の売却は、簡単ではありません。交通などが便利な都市部や市街地など立地条件が良い場合や、築年数が数年といった新築に近い物件であればまだ可能性はありますが、築数十年が経過した建物では、建造物的な価値はほとんどありません。

新しく住宅を購入する人は、きれいで、住みやすい物件を探します。築数十年が経過してしまっていては、きれいとは言いがたいでしょうし、水周りなどのシステムも新しく使いやすいとはいえません。

 

だったら、リフォームすればと考えるでしょうが、建物の耐震などを考えた基礎や水周りなど、大々的なリフォームを行えば、数百万から一千万を超える金額が発生します。その金額をリフォームに掛けるのであれば、新しくきれいな新築を購入したいと考える人が多く、中古住宅を購入する動機がないのです。

購入希望者がいなければ、住宅業者も中古住宅を買い取ってはくれないのです。

 

誰も住まないなら壊して更地にしてしまえばいいのでは?

中古住宅としての価値がなく、売却が難しいのであれば、誰も住まない建物は傷むだけなので、早めに解体して、更地にしてしまえばいいと思われるかもしれません。しかし、更地にしてしまうと、所有者に大きなデメリットが降りかかってくるのです。

そのデメリットとは「税金」です。更地にした場合と、誰も住んでいない住宅の建物をそのまま残しておいた場合で、土地に対する固定資産税が最大で6倍も違ってきてしまうのです。住宅をそのまま放置しておけば、税金が1/6、解体すれば、税金が6倍に跳ね上がるのです。

そのため、住宅を解体して更地にするよりも、誰も住まない家、すなわち空き家を解体せずに建てておいたほうが、節税になるのです。

この税金対策のために、人が住むあてのない住宅を、あえて解体せず手入れもせず放置してしまうことが多く、結果、全国的に空き家が増加してしまっているのです。

 

次回は、そんな空き家があることがなぜ問題なのか、具体的に考えていきます。