「空き家対策特別措置法」のわかりやすい解説とオーナー様への耳寄り情報


cba1c0fc252c06195037e7eff5b4d820_m

平成27年2月に施行された「空き家対策特別措置法」をご存知ですか?近年、空き家の数は増え続けており、今後も増加していく傾向にあります。

「空き家対策特別措置法」では、管理が行われていない空き家が、防犯や景観など、近隣住民の生活環境に悪影響を及ぼすことを防ぐために施行され、現在、空き家を所有している人にとって、無視できないものであるといえます。

そんな「空き家対策特別措置法」について、わかりやすくご説明します。

 

「空き家対策特別措置法」は、なぜ作られたのか?

全国の空き家の総数(平成20年)は約760万戸に及び、そのうち約270万戸を個人住宅が占めており、適切な管理が行われていない住宅は、防犯や衛生などの面で地域の大きな問題となっています。

また、全国的な空き家率も、2008年から2013年の5年間で、63万戸(8.3%)増加しており、今後さらなる空き家の増加が見込まれることから、空き家対策が必要となり制定されました。

 

法律的に、空き家として扱われるのは、どんな物件?

空き家とは、「人が住んでいない物件のこと」と、誰もが思っているかと思います。では、空き家対策特別措置法の対象となる、法律的に空き家と認められる物件は、どのような物を指すのでしょうか?以下をご覧下さい。

 

①居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物

具体的には、1年を通して人の出入りや電気・ガス・水道の使用がないことが判断基準になっている。

また、そのうち「特定空き家(自治体が判断し、市町村長の助言や命令が及ぶ空き家)」とは、

②倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

③著しく衛生上有害となるおそれのある状態

④適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

⑤その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

 

このような状態にある物件を、空き家と認定しています。

 

空き家と認定されるとどうなるの?

空き家対策特別措置法によって、各自治体が空き家の所有者や、管理状況などについて、調査することが出来るようになりました。

その調査結果で、近隣に悪影響を与える可能性があるなどの、特定空き家と認定された場合には、自治体から所有者へ、修繕や解体、庭木などの除去などを行うよう助言や指導、勧告を行うことができます。

改善が見られなかったり、所有者が特定できなかったりした空き家は、市町村が行政代執行で撤去できるようになりました。

 

空き家対策特別措置法で固定資産税も変わる

現在、空き家が増えてしまっている理由のひとつに、建物を解体して更地にするより、誰も住んでいなくても建物を残して、空き家にしておくほうが、固定資産全が優遇されるという制度があります。更地にした場合より、空き家にしておくほうが、固定資産税が6分の1になり優遇されます。

この優遇制度があるため、あえて、建物を解体せず、空き家にしている所有者も多いのです。

 

今回の空き家対策特別措置法によって、勧告を受けた場合には、この固定資産税が6分の1になる優遇対象から外れ、建物を残しておいても、更地と同様、今までの6倍の固定資産税が発生することになりました。また、強制撤去が行われた場合、解体費用が建物の所有者に請求されます。

これによって、誰も住んでいない空き家を、建てておくメリットがなくなり、空き家の数を減らすことができると見込まれています。

 

空き家をお持ちのオーナー様への耳寄り情報

ここまで「空き家対策特別措置法」について読んだ空き家のオーナー様は肝を冷やしたかもしれませんね。

空き家を解体したら固定資産税は6倍、しかも解体費用がかかる。解体せずそのままにしておいても強制撤去されて解体費用の請求が来る…。これではどの道お金がかかり困ってしまいますよね。

でも大丈夫です。ここからは空き家オーナー様へのお得な耳より情報をご紹介していきましょう。

 

自治体によっては解体に対する補助金がある

空き家増加が社会問題として取り上げられるようになってから、自治体によっては空き家解体に補助金制度ができた所があります。解体の平均的な費用は100〜200万円ですが、その半額程度の補助金を助成してくれる場合があります。

強制撤去の末に全額を払うより、自ら解体する方が得になる可能性があるということです。該当する自治体に確認してみて下さい。

 

更地の方が高く売却できる

いわゆる「古屋付き」という古くなった家付きの土地より、更地の方が早く高く売却できると言われています。

解体する費用や時間が購入者にかかってきますし、更地の方が見栄えが良いので当然です。

補助金の額を差し引いた解体費用と、更地の売却値を比べて、どの程度得になるのか計算してみて下さい。

 

まだ壊すにはもったいないなら空き家管理サービス

現在は空き家でも、まだ将来住む可能性や売れる可能性がある、壊すにはもったいない!という状況でしたら、空き家管理サービスの検討をおすすめします。

定期的な巡回と報告、クレームの対応、換気や雨漏りチェック、不法投棄ごみ処理など、空き家を良い状態で維持する様々なサービスがあります。

そのお値段は依頼するサービス内容によって決めることができ、数千円から数万円台です。中には100円/月という簡易的なものもあるようです。一度検討してみてはいかがでしょう。

 

まとめ

空き家対策法で、市町村等自治体による調査、強制撤去などの措置を可能にした上、それと連動して固定資産税の優遇対象から除外するという措置がとられることとなりました。

これにより、空き家の所有者は、経済的な負担や、行政による強制的な措置を受ける可能性がでてきたといえます。

空き家をお持ちの方にとってベストな対処は何か、早急に考えてみる必要が出てきました。

一度、建物のある自治体に問い合わせて、現状を確認してみることをお勧めします。