相続した建物を解体する時に注意することとは?


imge-inheritance00

ご実家など、相続した建物を解体する場合、まず何から始めていいのかわからないという方はたくさんいらっしゃるでしょう。

今回は相続した建物を解体するときに注意しておきたいことをご紹介します。

 

名義の確認をする

まずは、建物の登記事項証明書(登記簿謄本)で建物の名義人(所有者)が誰なのかを確認してください。両親の名義だと思っていたら、祖父母やさらにその前の世代の名義のままだった、ということもあります。

登記簿の名義人が亡くなっていて、かつ遺言書が無い場合は相続人全員の共有財産ということになります。このようなケースの場合、解体前に相続人全員の承諾を得る必要があります。その承諾を取らなかったために、解体することを知らなかった相続人との間で後々トラブルになってしまったという話もよく聞きます。

まずは建物を誰が相続して誰が解体するのかを相続人全員で話し合い決定し、遺産分割協議書を作成しておくのがよいでしょう。

遺産分割協議は相続において大変繊細な問題であり、相続人それぞれの思いを汲み取りながら円満にまとめていくというのはかなり難しいことかと思われます。

戸籍を調べて相続人を探したり、疎遠になっている相続人に連絡をしたりなど、ご自身では荷が重く負担に感じる時には、専門家に依頼するとよいでしょう。相続は時間を掛けると、相続対象者の誰かが亡くなってしまったりして、2次相続となると、さらに面倒になります。

相続配分が決まれば、遺産分割協議書の作成はそれほど時間がかかるものではないので、早めに手続きを依頼することをおすすめします

 

借地上の建物を解体する場合

次に、相続した建物が借地上にあり、その建物を解体する場合についてです。地主さんから借りている土地にある建物を取り壊す場合は、借地権に注意が必要となってきます。

借地権には大きく分けて賃借権と地上権の二つがあります。また現在は旧法借地権と新法借地権が存在しており、旧借地法に基づく借地権(平成4年より前に契約)と新借地法に基づく借地権(平成4年以降に契約)ではその内容も大きく違ってきます。

借地上の建物を解体する場合には、登記の確認をして旧法と新法のどちらの契約になっているのか調べておくことも必要です。

新法で契約した建物の場合、一般定期借地権(住宅目的で契約した借地権)はあくまでも住宅を建築するための借地権として認められています。そのため、相続した住宅を解体して店舗などに建て替えるなど、住宅以外の利用をすることができない場合もあります。

契約内容によっては解体にも地主の承諾が必要となりますので、借りている土地がどのような契約になっているか再度確認してください

 

まとめ

相続した建物を解体する場合には、いくつかの法的な確認や登記関係の確認が必要になってきます。

まず、建物の登記事項証明書(登記簿謄本)で名義人(所有者)が誰なのかを確認します。名義人が亡くなっていてなおかつ遺言書が無い場合には、相続人全員の合意を得なければなりません。すでに亡くなっている所有者の戸籍と、相続人のリストを作り、解体について相続人全員から同意を得ます。この時には、遺産分割協議書の作成をしておくことをお勧めします

また相続した建物が借地上にあり、その建物を解体する場合には、まず借りている土地がどのような契約内容に基づいているかを確認することが大切です。

建物所有を目的とする借地権には、地上権と賃借権とがあります。地上権の場合には、その権利(土地の権利)を登記することができ、地上権の土地上にある建物を建て替えたり第三者に売却したりすることも自由です。一方、賃借権の場合には建て替えや売却、転貸には、あらかじめ地主の承諾を得ることが必要になってきます。

借地上の解体工事の際には、契約内容についての確認をしっかり行わなかったためにトラブルになってしまったというケースも多々あります。そのためにも、借りている土地がどのような契約内容なのかを今一度確認することが大切です

相続した建物を解体する場合には、これらの様々なことをしっかりと把握したうえでトラブルの無い解体工事にしたいですね。