悪質な解体業者に気をつけて!その手口を知っておこう!


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解体業というとあまり馴染みがありませんよね。どんな道具や機械を使うのか。どんなことを下調べして、なにに配慮して、どんなふうに作業し、でたゴミはどこに捨て、そしてお値段はどのくらいかかるのか。インターネットで簡単に情報が得られるようになった今でも、一般には知られていないことばかりです。

だからこそ、そこにつけこむ悪質な業者もいます。そこで悪質な業者がよく使う手口をまとめてみました。解体業者を選ぶときの参考にしてみてください。

 

気をつけよう! 悪質業者の主な手口

まず、悪質な業者が起こす問題は大きく分けて3つあります。

  • 始めに非常に安い見積もりを出し、施工後に高額な追加費用を請求する。
  • 解体後に出た廃棄物を不法に処理して、工事費用を浮かせる。
  • 解体作業に手抜きが多く、トラブルが続出する。

それでは、一つずつ説明していきます。

 

見積もりでは安いはずだったのに!?膨大な追加費用が請求される

見積もりと請求に差が出ることは、解体業に関わらずよくありますよね。
現場では予想もしなかったことが起こります。特に解体工事では地中に何があるのかは掘ってみないと分かりませんから、見積もりを越えてしまうこともあるでしょう。

しかし悪質な業者は、この見積もりを意図的に操作して、不自然なほど高額の追加費用を請求してきます。例えば、見積もりを非常に安く計算したり、あり得ないほど高率の割引サービスをしておき、後から様々な理由をつけて追加費用を上乗せします

一般の人は解体工事費用の相場など知りませんから、「これが業界の常識なんですよ」と言われればつい納得してしまうでしょう。

また、解体工事では予想外のものが地中から出てくるときがあります。「地中障害物(地中埋設物)」といい、コンクリートの塊や岩石、浄化槽などが代表例です。

これら地中障害物は掘ってみないとわからないため、追加費用が生じる原因の一つになっています。悪質な業者は事前にコンクリート塊などを用意しておき、あたかも現場で掘り出したように見せかけて追加工事を捏造することすらします。

工事中にずっと現場を見張っているわけにはいきませんから、依頼主としては捏造されても分かりません。

このように見積もりと実費の差を利用して儲けようとする手口があります。この方法を使う悪質業者は、非常に安い見積もりをだし、しかも説明をほとんどしません。「いま契約すればさらに割引しますよ」といった甘い言葉で、すぐにでも契約書をかわそうとします。

しかし、逆に考えれば契約前に見破れるともいえるでしょう。本当に経験が豊かな業者なら、事前に追加費用もある程度計算に含めて見積もりを出します。そもそも見積もりとは安くすればいいのではなく、できる限り正確に実費を予測するものです。良い業者なら、見積もり内容も丁寧に説明してくれます。

安すぎる見積もりや、説明不足のまま契約を急がせる業者には気をつけましょう。できる限り実費とズレがない正確な見積もり書が出せることこそ、豊かな実務経験の証明だと思いませんか?

 

そのゴミ、どこに捨てていますか?不法投棄にご用心!

ふたつ目は依頼主からすると、非常に確認が難しいので厄介です。

解体すればさまざまなゴミがでます。しかもただのゴミではなく「産業廃棄物」といわれるものです。
この産業廃棄物は、決められた施設で適切な処理をすることが「清掃法」によって義務づけられています。特別な処理のために、一般廃棄物に比べると費用も高めです。

悪質な業者はこの産業廃棄物をお金をかけずに処理することで、見積もりを安くして仕事を獲得しようとしたり、費用を浮かせて儲けようと考えます。

いわゆる不法投棄です。例えば誰も確認しないような山奥に捨てたり、解体現場にそのまま埋めたりすることで、産業廃棄物を処理します。

当然ですが、違法行為ですから見つかれば罰則が下されます。5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金です。下手をすると併科といって懲役と罰金を同時に受ける可能性すらあります。

悪質業者は自業自得だと思われるかもしれませんが、実はこの罰則は業者だけではありません。依頼主も工事の施主なので同罪扱いなのです

つまり悪質な業者を選ぶと、なんの罪もないあなたも前科持ちになりかねません。

さらにもしあなたの土地に廃棄物が埋められた場合、新築工事も土地売却も困難です。廃棄物の撤去にさらに費用がかかり、加えて懲役か罰金刑が課せられます。
まさに泣きっ面に蜂です。

このような悪質業者を見破るには見積もりの段階で、解体後の地中確認を実施するか、工事完了後に廃棄物処理証明書であるマニフェストを発行するかどうか、を確認しておきましょう

また、工事現場にときどき足を向けるもの対策の一つです。施主が現場を確認することは当然の権利ですから、堂々と見に行きましょう。

 

解体は大変な作業、だからこそ周りへの配慮が重要です。

3つ目は金銭的損失よりも、解体工事そのものの質が問われます。

解体工事は規模にかかわらず周囲に影響が大きい作業です。特に住宅地であれば、粉塵や騒音などで周りに迷惑がかかります。

だからこそ解体業者はきちんと地域住民に説明をしたり、工事現場にしっかりした養生を設置して粉塵が飛び散らないようにしたりとさまざまな配慮をしなくてはなりません。工事のあとに起こったトラブルを背負ってしまうのは依頼主である施主だからです。

ところが一部の業者は基本的な配慮を忘れて工事をしてしまいます。事前準備も打ち合わせもいい加減なので、残すべきものを解体したり、周囲の家屋や道路を傷つけてしまったりすることもあります。

怒鳴り声を響かせ、路上で喫煙しタバコを投げ捨てるなど、マナーの悪さが目立つこともしばしば。最悪、工事を中途半端なまま放棄し、連絡が取れなくなるケースすらあるのです。

直接的な詐欺被害ではありませんが、このような事例も十分悪質です。今後の近所づきあいが難しくなるなど社会的な立場が悪くなり、さらに修理費や再解体などよけいな費用がかかるのですから、ある意味では詐欺よりひどい目にあいます。

このような被害に合わないようにするには、解体業者の企業としての体制をよく確認することです。

  • 地元で長く解体事業を行っているか。過去の実績や評価はどうか。
  • 解体の専門業者で法人格を所有しているか。
  • 解体に関する法的許可を得ている業者かどうか。各種保険に加入しているか。
  • 仲介ではなく、業者が直接応対してくれるか。事前の調査や説明に時間をかけてくれるか。説明は懇切丁寧か。

特に全国規模で工事を請け負うような会社は、仕事を受け各地の解体業者に仕事を回す仲介業者なので注意が必要です。なぜなら契約を結ぶ相手と実際に工事を行う業者が違いますから、どうしてもすれ違いや認識のズレがおこり、トラブルの原因になるからです

ですので元請け業者を選びましょう。地元で長く解体業を営み、過去に豊富な実績があって、今までの依頼主から高い評価を受けている業者。責任を果たすために誠実に対応してくれる業者こそ、信頼すべき業者です

 

悪質業者が発する甘い言葉に気をつけて

このように調べてみると、悪質な業者の共通点が見えてきます。それは安易さです。

建築物の解体工事は、本来簡単なものではありません。危険もありますし周囲への影響も大きいですから、事前の調査や打ち合わせなど念入りに下準備し、実際の工事も慎重に行わなくてはなりません。

地面を掘ればなにが出てくるか分かりませんし、廃棄物は法律に従った適切な処理が必要です。どんなに効率よく作業を行ってもある程度費用もかかります。

つまり、解体工事は安易に予算を低く見積もったり、説明もなく契約したりできるわけがないのです。できるはずがないことを、いかにも簡単にできるように装う業者は、少なくとも誠実とは言えません

解体業者を選ぶなら、甘い言葉に迷わないように気をつけて下さい。いつでも連絡がとれ懇切丁寧に相談にのってくれる、誠実な地元の解体専門業者を選びましょう。

 

【参考サイト】
・解体工事の情報館(2016)「解体工事施工業者の失敗しない選び方とは!?」<https://www.kaitaiguide-blog.net/kaitaigyousha-erabikata-3105/>.
・エンディングパーク「建物解体工事の3大トラブルとは?」<http://en-park.net/books/8023
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律<http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO137.html