スイカ型ペイントのガスタンク 惜しまれながらリンゴの皮むき式に解体


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出典 https://twitter.com/search?q=%23

地元民に愛されるスイカタンク

岩手県滝沢市には、地元の人々から「スイカタンク」と呼ばれ、親しまれている球形ガスホルダーがあります。球形ガスホルダーとは、都市ガスや窒素ガスを貯蔵しておくためのタンクで、水色や灰色の球形タンクは、みなさんもよく見かけるのではないでしょうか?

滝沢市にあるスイカタンクは、この球形ガスホルダーの外装を、同市の特産品であるスイカにちなんで、緑と黒のスイカ模様に塗装したもので、タンクのサイズは直径21メートル、高さが25メートルで、約5万世帯の半日分のガスを備蓄できる大きさです。

高速道路からも見えることから、帰省の時に、スイカタンクを見ると、帰ってきたと実感する。など、地元の住民からは、大変親しまれていましたが、老朽化のため、取り壊しが決定し、2015年9月から、解体工事が始まりました。このスイカタンクの解体工事が、まるで、りんごの皮むきのようだと、ネットニュースなどで話題になりました。

 

リンゴの皮むき工法で解体

スイカタンクに使われている鉄板の厚みは約22ミリ。解体は、バーナーを使い、タンクの下のほうから、約1メートル50センチほどの幅でリンゴの皮をむくようにくるくると切り取っていく「リンゴの皮むき工法」で行われているそうです。

ツイッターなどでは、上半分だけになったスイカタンクの写真が、「半分食べられた」などのコメントとともにアップされ、解体工事中の今も、地域の人々に話題を供給し、滝沢市のPRにも貢献しています。

 

地域のPRとして大成功

球形ガスホルダーは、10年ごとに、外壁の塗装を剥がして、検査を行い、検査終了後には、再度、外壁を塗り直す必要があるようです。

2003年の検査の際に、どうせ塗り直すのだから、地域のPRにつながればということで、当時は村だった滝沢村の特産品であるスイカを模したものに塗り替えました。当初は思いつきだったであろうスイカ柄が、地元の人々に親しまれ、十数年後には、その解体工事の様子が、ネットのニュースで話題になり、結果、多くの人が、滝沢市のスイカタンクのこと、滝沢市の名産がスイカであることを知ることに繋がりました。

地域のPRとして、大成功を収めた事例だといえるでしょう。

 

解体によって生まれるものとは

なぜ、ここまで大きな話題になったのでしょうか。ただスイカ柄のガスタンクが設置されているだけでは、ここまでの大きなニュースには発展しなかったでしょう。いつもと変わらず、そこにあるだけ。では、地元の人は、わざわざ話題にしないでしょうし、観光で訪れた人が、スイカ柄珍しいと話題にするくらいではないでしょうか?

今回、スイカ柄のガスタンクが、老朽化で解体されることになり、またその解体方法が、リンゴの皮むき工法で行われ、スイカなのに、リンゴの皮むきというミスマッチ感が、ツイッターなどのSNSに取り上げられる要因となり、どんどん拡散されて、話題になっていったのではないでしょうか?

 

解体というと、無になってしまうだけで、なんの話題にもならなそうですが、今回のニュースのように、解体することで、ただそこにあるだけの物の状況が変化し、それが新たな話題を作り、多くの人が興味を持つニュースにまで発展しました。

今回の、スイカタンク解体工事が、こんなにも大きなニュースとなったのは、ただの偶然かもしれません。しかし、解体という、新しい動きがあったからこその、大きな話題になったといえるのではないでしょうか?老朽化で解体というと、ネガティブなイメージが先行してしまいますが、解体という、今までと違った、新たな状況に入ると考えると、そこから全く新しい、違った物が創造できるのかもしれません。

 

ちなみに、滝沢市のホームページによると、解体中のスイカタンクの横にある、もう一台のタンクが、近々、スイカ柄に塗り替えられ、早ければ11月下旬から、二代目スイカタンクとして登場するようです。二代目スイカタンクのお披露目も、話題になりそうですね。