進化するために自ら解体と創造を繰り返すグループEXILE


自ら変化を求めることで進化してきたEXILEは今年で15周年

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リーダーHIROを中心に1999年にJsoulBrothersとして結成した後にメインボーカルが脱退、ATSUSHI、SHUNの加入を経て2001年にEXILEと改名し再デビューした彼らは昨年2016年でEXILEとして15年周年を迎えました。

彼らが2001年にデビューシングルとして発売した「Your eyes only 〜曖昧なぼくの輪郭〜」を中学生の時聞いていたのであれば、もう30歳前後になっているはずです。それだけの月日を経て存在できるグループは非常に稀有で、人間が複数人集まれば必ずと言っていいほど起こる衝突やすれ違いを乗り越えて、更に価値のある物を創造し続けなければならないのです。

こう書いてみるとどれだけ難しい事をかれらが続けてきたのかがわかります。EXILEは数々のピンチを、自ら大胆な変化を求める事で乗り越えてきました。

 

解体の理由は消極的なものばかりではない

img_newexile02出典:https://mdpr.jp

「解体」とはそこに存在する組み合わさってできた何かを分解することです。人の集合体である組織を解体すれば、集団として存在していた人々が個人として存在する状態に変化します。例えばビルを解体するのであれば、ビルを構成していたコンクリートや柱などの様々な物質が、繋がりもなく存在する状態に変化します。

この解体が起こる理由は様々です。組織、例えば企業であれば、業績が悪化し、状況を打開するために大胆な組織改革を行うために、それまで存在していた組織構造を一度ゼロに戻すことを解体として捉える事ができます。ビルや構造物であれば、老朽化も理由になるでしょうし、狙っていた効果や収益が得られなかった商業的な建物であれば、解体して全く異なる形に作り変えるという事もあり得るでしょう。

ここまで出した例はいずれも消極的な理由が多いです。EXILEも例外ではなく、彼らがEXILEになる前に結成したJ Soul Brothersはメインボーカルが脱退してしまいました。現在では状況は少し異なりますが、当時はボーカルの脱退とは実質的にはほぼそのグループの終了を意味していました。

彼らは愛着のあるグループ名を捨て、一度自分たちを解体し、ツインボーカル+4人のダンサーという形で出直しを図りました。これも同じく消極的な理由で変化を余儀なくされ解体を行った例です。

この後の彼らの歩む道は変化による進化の連続です。2003年には「EXILE ENTERTAINMENT」がミリオンセラーを達成しました。シングル・アルバムともに次々とヒットを生み出し勢いに乗っていたた彼らですが、2006年にはツインボーカルの内の一人のSHUNが脱退することになってしまいました。人気絶頂の中で彼らはまたしても消極的な理由で変化を余儀なくされたのです。

この時またしても彼らは大胆な手法でリスクを嫌わずに変化による進化を求めました。彼らはオーディションによって新ボーカルを募ることにしたのです。ミリオンヒットを飛ばす人気絶頂にいる本格派のダンスボーカルグループに一般からボーカルを募るということは当時異例でした。彼らはリスクを厭わず自らが正しいと思う道を信じ、業界の常識を解体しようとしたのです。

2万人の参加者の中から新ボーカルTAKAHIROが加入しました。新たなダンサーAKIRAを加えて2016年EXILEは7人で再スタートを切りました。この例も消極的な理由で発生していますが、解体をチャンスに転化した例です。

危機を乗り越え更に勢いに乗るEXILEはその3年後の2009年に積極的に自らを解体します。7人のグループだった彼らは同事務所の後輩グループである新J Soul Brothersの7人をEXILEに吸収して14人のグループになる事を決定しました。7人から14人になることは全く別のグループになるほど大きな変化だといっても過言ではありません。

当時の事を覚えているファンでこの変化に抵抗感を覚えた方も少なくないのではないでしょうか。栄光を勝ち取った2人のボーカルとそれを囲む5人のダンサーというスタイルを人気絶頂の中で捨てて、14人でのパフォーマンスで新たな創造を求めるというのは大きなリスクを伴う解体です。

しかし、変化によって進化してきた彼らは消極的な理由で解体を余儀なくされるのを待つのではなく、積極的に自らを解体して変化を求める必要性を強く感じていたのでしょう。この後の彼らは舞台、アパレル、テレビ(バラエティ)など創造的な他分野への進出を本格化し始めます。

ここまで見た通り解体は消極的な理由で起こるイメージが強いですが、彼らの姿勢を見ると積極的な解体にこそ、より大きなチャンスが有ることが感じ取れます。

 

会社組織全体の解体で創造性を高める道を追求する

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EXILEの運営母体は株式会社LDHという会社です。EXILEは結成当初からメンバーが資本金を出し自分たちが中心となって会社を運営していました(当初はエグザイルエンタテイメント有限会社)。

LDHは今年2017年の1月1日に名称を「LDH JAPAN」に改め、大胆な組織の解体、再編を行いました。日本を中心とした活動から「LDH USA」、「LDH ASIA」などの複数の組織を新設し、それを統括する「EXILE WORLD」を母体とすることを発表しました。

HIROは会社の経営者からクリエイティブのトップになり、各メンバーも各々の組織のトップに就任するなど、これまでのアーティストとしての殻を捨て、他分野に、そして背世界に挑戦していくという姿勢はまさに彼らの「積極的な解体による創造と進化」を象徴しています。