「ジュラシックワールド」 創造と破壊の関係とは



出典 http://allpicts.in/

恐竜。太古の昔に生きた未知の生物たち。かつて地球を支配し、忽然と姿を消した者たち。そんなロマンあふれる恐竜をモチーフにした冒険映画シリーズの4作目が、今回ご紹介する「ジュラシックワールド」です。

舞台はシリーズ1作目と同じ南米のイスラ・ヌブラル島。本作では時間の経過を巧みに生かしたギミックで、1作目からのファンも本作から見る人も楽しめるように作られています。さあ、恐竜の島へ冒険に出かけましょう!

「ジュラシックパーク」シリーズの再構築で大ヒット

「ゴーストバスターズ」や「スター・ウォーズ」など、最近は往年の名作のリメイクやリブート、新作公開が盛んに行われています。舞台を現代に移したり、主人公の性別を変えたりとその方法は様々です。

「ジュラシックワールド」では、「ジュラシックパーク」と同じ島に設定し、時間を現代に移して製作されました。このほかにも「ジュラシックパーク」を思い起こさせるシーンや要素がたくさん登場します。

「ジュラシックワールド」は、「ジュラシックパーク」を丁寧に解体し、現代で再構築した作品だと言えるのです。

 

創造と破壊を行うキーパーソン クレア・ディアリング

本作には数多くの魅力的な人物が登場しますが、今回はクレアに焦点を絞ってみていきましょう。

クレアはジュラシックワールドの運用管理者です。科学者という面も持ち、合理的な性格です。パークの恐竜をビジネスの道具ととらえており、最初に事故が発生したときもパークが被る損害の心配をしていたほどでした。

そんなクレアにも転機が訪れます。甥たちを探す道中、クレアは傷ついたアパトサウルスに出くわします。アパトサウルスはクレアが生み出した新種の恐竜インドミナスレックスに襲われたのです。

自らが生み出したインドミナスレックスが引き起こした惨劇を目の当たりにし、クレアは恐竜をひとつの大切な命として捉えるようになります。

クレアが創造した恐竜インドミナスレックスは強力で、主人公たちを窮地に追いやります。そこでクレアはティラノサウルスをおびき寄せ、インドミナスレックスを倒そうとするのです。

本作においてクレアは、創造主と破壊者という表裏一体の役割を併せ持ったキャラクターとして描かれています。人間が命を操作することに対する是非がクレアというキャラクターを通して問われているのです。

 

恐竜たちの解体と創造

ジュラシックワールドを語るならば、恐竜たちのことは外せません。人間の都合で誕生させられたとはいえ、彼女たちも高い知能を持ち、それぞれがそれぞれの理由で何かを壊し、何かを創造しているのです。

純然たる破壊者として描かれているのはインドミナスレックスでしょう。彼女は遺伝子操作によりいくつかの恐竜の合成として作られました。強靭な肉体と高い知能は圧倒的な強さを誇ります。

ヴェロキラプトルたちは社会性を持つ恐竜として描かれています。集団で狩りをする性質のため、人間とも信頼関係を構築し、協力します。ヴェロキラプトルと人間の信頼関係の崩壊と構築も本作の見どころのひとつです。

そして本シリーズを語る上で絶対に外せない恐竜といえば、やはりティラノサウルスです。本作に登場するティラノサウルスは、なんと1作目で主人公たちを襲った個体と同じ個体なのです。

恐竜たちの中で彼女を位置づけるならば、自由の創造者ではないでしょうか。ラプトルたちと連携をとり、高い知能を以て最強のインドミナスレックスを倒し、ジュラシックワールドを恐竜たちだけの島にしてしまったのですから。

 

今回は「ジュラシックワールド」を見ていきました。いかがでしたか? オマージュが数えきれないほど織り込まれた本作は、1作目を見てから見ると味わい深い映画です。ぜひ、1作目「ジュラシックパーク」と見比べてみてくださいね!