時空間の謎を解明し人類を救う。映画「インターステラー」から学ぶ人類の解体と創造


映画「インターステラー」のストーリー

img_intersteller01出典:http://nerdist.com/

映画「インターステラー」は2014年に公開された、クリストファー・ノーランが監督となって手がけたSF映画です。

サイエンス・フィクションでありながら、「人類の危機を救うために宇宙の謎を解明する」というストーリーを、最先端の科学的な知見や仮説をふんだんに盛り込んで描いた本作は、物理学者や宇宙ファンを歓喜・興奮させました。

主人公のクーパー(マシュー・マコノヒー)は元NASAのテストパイロットでした。舞台となる時代の地球は深刻な環境の悪化によって、人類の生存が困難な状況に直面していました。

NASAに勤め、人類の移住先となる惑星を探すミッションに従事していたブランド教授は、クーパーに計画(ラザロ計画)に参加するように促します。一方、クーパーの娘であるマーフ(ジェシカ・チャスティン)は当時10歳で、帰還できるかわからない危険な旅に出る父クーパーを引き止めつつも、父は人類を救う為に旅立って行きます。

タイトルにもある「インターステラー」とは「星から星を巡る」という意味です。クーパーは宇宙を旅して、星を巡り移住に適した惑星を探す旅に出発しました。

このラザロ計画において、人類を救う為の主だった計画は「宇宙に人類を移住させる為の惑星を見つけるとともに移送手段を確立する」でした。しかし、その裏では、公表されていない(できない)セカンドプランも存在していました。それは、「現在の人類を見捨て、受精卵を運び、移住先で新しい人類を育てる」というものでした。

父クーパーのミッションを助ける為に、出発時の父の年齢まで成長した娘マーフはNASAでブランド教授とともに働いていました。マーフは「宇宙に存在する重力の謎を解き明かす事ができれば、巨大な宇宙船を建設し、人類を移住先に移送することができる」と期待していました。

しかし、老いたブランド教授は死ぬ間際に「その謎を解き明かすことは絶対にできないと、自身では確信しつつも長年隠蔽してきた」とマーフに解き明かします。マーフはそれでも人類の生存と父との再会を諦めずに、研究を続けます。

一方、途方もない距離と時間を隔てた宇宙の最果てで、父クーパーも決死の覚悟で戦い続けていました。

二度と会えないはずの時間と距離にいた二人は重力の秘密を解き明かし、時間と空間を超えて心を通わせます。人類は無事に崩壊する地球を脱出し、宇宙の果てで発見した移住先に向かいます。

そして、クーパーとマーフは再会します。この時、父クーパーは出発時と変わらない年齢でしたが、娘マーフは100歳を超えています。この辺りの事情は是非本編をご覧になってください。

 

「解体」とは冒険であり発見である

前述の通り、インターステラーのストーリーの中でNASAが目論む「ラザロ」計画には2つのプランが存在します。「地球からの移住」もしくは「新惑星での再生」です。

この2つのプランからも「地球をどうにか生き永らえさせる」という案が検討し得ない程に地球が破壊されてしまった事がわかります。その時点での人類の叡智を結集しても、「人類を宇宙に移住させる」という事は不可能だったのです。

「手を尽くしてもこれ以上何も出ない」時に有用なのは、新たな発見を求めて冒険をしたり、全く違う確度から物事や仮説を検証したりすることです。本作でクーパー達がトライしたのはまさしく「宇宙を冒険し、これまで人類が考えていた常識を解体する」という挑戦です。これは「自分たちが生きている世界そのものを解体する」とも言えるでしょう。

インターステラーのストーリーの最後に人類が信じてきた世界は完全に否定される発見がありました。この時、「宇宙は解体された」のです。ビジネスでも研究でも「常識を疑い、新しい道に挑戦する」という事を選択した際は壁にぶつかり、大きな摩擦が伴います。

しかし、その結果として技術革新が起こり、業界の構造が大きく変わるというような「解体」が起こり得ます。そして、大きな生活の改善や経済成長がもたらされるのです。

 

解体の先にある「創造」は無限の可能性がある

「一度、解体する」という道を選んだ時、その次に来る「創造」に制約はありません。リノベーションや改築は素晴らしい手段ですが、過去の構造やデザインを踏襲する為、どうしてもアイデアに制限が出てしまい、イノベーションは生まれづらい側面があります。

一方で、解体を伴う場合、一から全てを創るプロセスになる為、チャレンジングではありますが、制約がないぶん、創造的で革新的なアイデアが生まれやすいのです。

インターステラーにおいても、人類は自らの「解体」というチャレンジによって発見した「新常識」によって、これまでの人類が創造もし得なかった、移動手段や居住方法はもちろん、時間と空間を乗り越える術を見つけた事で、まったく異なる人生の歩み方や楽しみ方を発見する事ができたはずです。

「解体」という言葉自体は「恐れ」を連想させる言葉です。しかし、映画「インターステラー」からも学ぶことができるように、恐れを乗り越え挑戦すればその先に新たな未来を発見できる可能性があるのです。