建物の解体時には「敷地境界線上のトラブル」を知っておこう


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解体工事に関連するトラブルとして敷地境界線の問題があります。例えば建て替えの際に解体工事を行おうと思っていたところ、「自分のものと思い込んでいた塀を、隣人も自分のものと思い込んでいた」「境界線がわからない」「解体工事後、境界杭がなくなっていた」など境界線に関連したトラブルって結構あるのです。

今回はそういった境界線関連のトラブルを未然に防ぐためにも、いくつかの事例をQ&A形式でご紹介します。

 

事例1

Q. 解体工事を行おうと思ったところ、隣家との間に境界杭が見当たりません。自分の敷地がどのくらいあるのかわからないし、そういった書面も見つかりませんでした。後でトラブルにならないためにはどうしたらいいでしょうか?

 

A. 境界杭がないということはそれぞれの敷地がどこまでなのか正確にはわからないということですので、隣家の方とでは境界の認識が違っているということがあるかもしれません。このような場合、構造物がどちらの所有であるかを明確にした上で、解体工事を進めることが重要です。

例えば、ブロック塀や石、樹木といった、構造物がどちらの所有なのかで意見が食い違うことは十分に考えられます。自分の認識で撤去・解体を行った後で、隣家からのクレームとなったり、損害賠償請求を受けるというケースもあります。そのようなトラブルを避けるためには、隣家の方の立会いのもと、工事範囲を決めることが大切です。

その際には、あなたと隣家の方、解体業者で同時に工事範囲の確認をし、三者が共通の認識を持った上で解体工事を着工することが重要となります。

もしもあなたと隣人の方は共通の認識を持っていたとしても、それが正確に解体業者に伝わっていなかったためにトラブルに発展するケースもありますので、必ず解体業者も含めた三者で工事範囲の確認をすることをおすすめします。

 

事例2

Q. 解体工事中に解体業者が境界杭を抜いてしまいました。解体業者は地籍測量図を基に測量して境界杭は復旧するので問題ないと言っているのですが、本当に問題ないのでしょうか?

 

A. 復旧作業には土地家屋調査士や測量士などの資格は必ずしも必要ではありませんので、あなたと隣地の方との立会いのもと、この両者が納得すれば、解体業者が地籍測量図を基に測量して境界杭を復旧するということも可能です。しかし実際には、見た目にはそれが正しい位置なのかどうか分からない事が多く、そのまま何年も経過してしまいそれがもとで隣人との境界トラブルとなることも少なくありません。

ですからこの際、きちんと土地家屋調査士に依頼してみてはいかがでしょうか?地積測量図があればそこに図面作成者が記載されていますから、その土地家屋調査士に境界の復元を依頼するのがベストでしょう。

工事後にトラブルが起こるのでは、と心配な方は境界杭の復旧作業をした内容の報告書を手に入れておけば次に何かあった時に復旧したポイントがはっきりして良いと思います。

 

事例3

Q. 隣家との境界線上にはブロック塀が建っております。家屋の解体工事に伴ってその塀も解体しなければいけなくなりました。その際に注意することはありますか?また境界線上の共有物となるので、費用は折半となりますか?

 

A. 境界線上に共有物のブロック塀がありそれを解体する場合、まずは所有者全員の同意を得る必要があります。費用については今回のブロック塀の解体があなた側の理由により行われるのであれば、一般的には費用はあなたが負担をすることとなります。(話し合いにより折半となる場合もあります。)

また、そもそも境界線上にあるからと言ってそれが必ず隣家との共有のものであるとは限りません。もしも過去に、隣家で建てたものだとすれば隣家の所有物ということになってしまいますので、勝手に解体することはできません。

まずは、隣家の方と話し合いの場を設け、誰の所有なのかを明確にしたうえで解体の承諾をもらう必要があります。

また境界線上のブロック塀には隣接して境界杭が打ち込まれている場合がよくあります。この境界杭を誤って抜いてしまったり飛ばしてしまうと、再度杭を打ち込むのに時間も費用もかかります。境界周辺の解体の際には、事前に業者に境界杭のことを伝えた上で、くれぐれも慎重に細心の注意を払って工事を行ってもらうように依頼してください。

 

まとめ

解体工事を行う際に隣家との境界線の問題でトラブルが起こるということはよくあります。特にお互いの認識の違いからトラブルに発展し、後々まで確執となってしまう場合もあります。

境界線の問題は大変デリケートな問題でもありますので、隣人との双方で話し合いがつかない場合などは、土地家屋調査士に依頼をしてきちんと境界を確定させる、それでも双方の言い分が食い違う場合などは弁護士を依頼し法廷で争うということになります。

しかしそれには相当の時間も費用もかかってしまいますので、出来るだけトラブルは未然に防ぐようにしたいですね。